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大丸心斎橋店の建て替えに関連する大阪市の都市計画について

大丸心斎橋店の建て替えに関連する大阪市の都市計画について
笠原一人(京都工芸繊維大学)

大丸心斎橋店の建て替えに関連して、大阪市の都市計画審議会に諮る「大阪都市計画都市再生特別地区の変更(大阪市決定)」が、大阪市役所およびHP↓で公開されています。
「大阪都市計画案の公衆縦覧及び意見書の受付を実施します」
10月13日まで縦覧および意見書を受け付けています。
意見書をまとめる際の参考になるように、内容を考察しその意味するところを記しておきます。

HPに掲載された概要の断面図などから分かるのは、この計画は現在の大丸の本館と北館の間の道路の上空の大部分を建物でつなげて、大宝寺通(幅5.5m)の上空2階以上の本館と北館を建物で接続し両館を一体化する計画です。
日本では、これ(公道の上に建築すること)は基本的にできないのですが、それを特例でやってしまおうというものです。

pic1
この計画が意味することは、何でしょうか。
計画書では建物の輪郭しか描かれていませんが、北館の各階フロアーの高さと本館の各階フロアーの高さをすべて揃えることで両館を一体化することが、この計画の最大の目的だと考えられます。
【図1】

pic2
現在は、本館と北館の各階フロアーの高さが異なっています【図2】。
しかしそれでは隣の北館と各フロアーの高さが揃わず、つないだ部分に階段やスロープが必要となり、つないだとしても細い通路で接続することになってしまい、効果的な一体化ができません。
pic3
そこで本館を壊して、北館の各階フロアーの高さと揃えて本館を設計し直すようです。
【図3】

言い換えれば、この北館と本館の一体化のせいで、歴史的文化的価値が極めて高い本館が建て替えられることになるのです。

もう一つの問題は、本館と北館の間にある大宝寺通の大部分がトンネル状になり、現在すでに両サイドを高いビルに挟まれた細いこの道路の環境がますます悪化することでしょう。
こんなひどい状態の市街地の道路は見たことがありません。いずれにしても、大阪の都市環境にとって大きな悪影響を及ぼします。

本館の建て替えをやめて、しかも大丸のやりたい一体化を実現するとすれば(トンネル状になることは認めたとして)、本館は現在のまま残し、北館の方を壊して建て替えて、各階のフロアーを現在の本館の高さにすべて揃えて繋げればいいのです。なぜ、それができないのでしょうか。

新しいものは壊せない、というのでしょうか。どちらに価値があるかというと、明らかに本館です。本館こそが大丸の歴史とブランドを形成してきました。

一方、北館は旧そごうの建物(村野藤吾の名作を解体して建て替えたいわくつきの建物)であり、そごうのイメージが強い建物ですから、大丸にとっては壊すべき対象です。
なのになぜ、わざわざそごうのイメージを守って、自らのブランドをなくしてしまうのでしょうか。本末転倒だと言えます。

以上を意見を述べる際の参考にしていただければと思います。なお、添付の図は、あくまでも床の高さが異なっていることや建物が離れていることを示すイメージ図です。
寸法や具体的な形態は正確ではありませんので、ご注意ください。